電子書籍

本の置き場に困っていることからかなり動向が気になっている電子書籍ビューアのハードウェアスペックを整理してみました。リストは気付いたものを随時アップデートします。

※グラフについては「Canvas」を使用して描画しているのでブラウザでIEをご利用の場合は9以降でご覧ください

重さとディスプレイサイズ

下のグラフはX軸に重さ、Y軸に画面の大きさをマッピングしたものです。色についてはそれぞれ橙色がLED、緑色がいわゆる「E-Ink」 を使用したディスプレイを示しています。

 

予想していたとおりなのですが大きく二つのグループに分かれているのがよくわかります。右上のグループは据え置きを想定したモデル、左下は携帯することを想定したモデルと考えられます。何らかのカバーを使用する事を加味すると、電車で立って使用するためには300~400gあたりが区切りとなってくるのではないでしょうか。

※とはいうものの以前電車で読んでいた書籍を量ってみると800g程度のものもあるので、案外700g越えのモデルでもありかもしれないと思いました、いややっぱりないですね……

どうしてもE-Ink関連機器が軽量にできているため左側のグループに集中していますが、LEDモデルは7インチのモデルで300g、10インチ前後のモデルでは500gが壁になっているような状況に見えます。

解像度とディスプレイサイズ

次のグラフはX軸に解像度、Y軸にディスプレイサイズをマッピングしたものです。

 

右側にあるほど高解像度のディスプレイになります。大きいサイズのディスプレイは高解像度化が遅れていたのですが、ここにきていくつか250ppiオーバーの製品が出てきたようです。少し前は200ppiの壁を超えるかどうかが一つの目安だったのですが、今では当たり前になってきているようです。中型サイズは堅実にハイテク度が進んでいるのに比べ、小型と大型サイズのディスプレイはRetinaディスプレイに代表されるように一気にスペックアップを図っている傾向にあるようです。

画面サイズのトレンド

製品の画面サイズの推移を表しています。

 

画面サイズだけに限ると、LEDモデルは10インチ、7インチを中心に展開していたところ、2013年後半から8インチがラインナップに加わってきたようです。E-Inkモデルは6インチを中心に展開しており、トレンドの変化はあまりないようです。

重さのトレンド

製品の重さの推移を表しています。

 

E-Inkモデルは順調に重さを削ってきていますが、そろそろ打ち止めのような感があります。

LEDモデルは携帯用 (500g以下) と据え置き用 (500g以上) と2つのトレンドに分かれてきているようです (勝手に分類)。

一つ目のグループである携帯用モデルは年々順調に軽くなっており、トレンドを見る限りもう少し軽くなる余地がありそうです。時間は掛かると思いますが最終的にはE-Inkモデルに肉薄していくのではないでしょうか。

もう一つ目のグループである据え置き用モデルは、持ち運びをせず家やオフィスなどで使用する用途に割り切ったのか、重さが減少どころか増加する傾向もあり、多様化していることがわかります。これは最近のモデルにおいてノートPCの置き換えを狙ったものが出てきていることが影響しているようです。

解像度のトレンド

解像度の推移を表しています。

 

E-Inkモデルに関しては2012年前半まで170ppi程度で停滞していたのが、2012年後半から200ppi以上にステップアップしたことが伺えます。2013年以降の様子から、さらに高解像度のディスプレイが今後増えてくることが期待できます。

一方のLEDモデルに関しては150ppi前後のディスプレイが古くから続く中、2011年頃から200ppiの壁を突破したディスプレイが出始め、2012年を過ぎるとRetinaなどに代表される250ppiを超えるディスプレイが増えてきたようです。今後はE-Inkと同じく横並びではなくモデル高解像度のディスプレイが徐々に増えていくことが期待できます。

ディスプレイの表面積比のトレンド

本体ディスプレイ面に対するディスプレイの面積比の推移を表しており、いわゆる狭額ディスプレイの傾向がわかります。表内では「S / B」のカラムが該当します。

 

全体的には緩やかな上昇傾向にあり、狭額化が少しずつ進んでいることがわかります。当然ながらカメラや物理ボタンが搭載されている製品は低い値となり、本体ディスプレイ面が小さい小型の製品は不利となります。

ディスプレイの縦横比 (DAR: Display aspect ratio) のトレンド

ディスプレイの形のトレンドがわかります。

 

ディスプレイの短辺を長辺で割った値となり、100%が正方形、50%が1:2の長方形となります。

こうしてみると、E-Inkを使用した紙の書籍の代替を意識したモデルは「4:3」と比較的寸胴のディスプレイが多いことがわかります。一方、LEDを使用したマルチメディア用途(一部、書籍の代替が主目的)のモデルは今デスクトップPCではやりの「16:9」ではなく一昔前にはやった「16:10」のモデルが多いことがわかります。映像を意識すると「16:9」となるはずですが、横向きにした際の上下のインフォメーションエリアを含めるとほぼ「16:9」となるからなのか、あるいは「書籍の代替」としては長細すぎてバランスがわるかったのか、といった感じではないかと思われます。

個人的な指標

上にある方が少し語弊がありますが大画面で軽量かつ高解像度の条件を備えた機器であることを表しています。表内では「Index」のカラムが該当します。

 

計算式は「画面サイズ^2*解像度*狭額度/重さ」で算出しています。

画面サイズを2乗しているのは、画面サイズが小さいほうが構造上有利になることから重み付けのため実施しています。

月日が経つにつれて右上がりの傾向が見られることから、確実により「ハイテク」な機器がリリースされていることが伺えます。E-Inkの方が仕組み上有利に働いていますが、画面サイズに重み付けしたグラフではLEDのモデルも検討していることがわかります。

トレンドを見る限りではまだまだ頭打ちにはなっていないようですのでもう暫くはテクノロジーの向上を拝むことができそうです。

こちらはAppleのプロダクトのみをマッピングしたものです。2014年まで線型にスコアがアップしていたのが、2015年を境に頭打ちになりつつあることがわかります。と思っていたところ、2018年末に巻き返しがあり、長期トレンドで見るともう少し期待できそうです。

データ一覧

次の表はグラフに使用しているデータとなります。確度は未知数のため参考値に止めるよろし。

また、あくまでも数値からの比較であり、これだけで選んでしまうと悲しい結果が待っているのでご注意を。

※備考